雪の森の綿菓子屋/丘白月
 

綿菓子屋が月夜に開く
小枝に星を吊るして並べ
ザラメ雪を運ぶ妖精
白い綿菓子がゆっくりと
そしてだんだん速く
一本の命で絡め取られていく
甘いけれど溶けるのも早い
雪の森の綿菓子屋に
やってくるお客様は誰
お金はいらないそれは幻
綿菓子で出来た魂を
甘い魂を買った夢を見た
私の後ろに並んでいるのは
懐かしい香りの髪をした人


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