深爪/カンチェルスキス
 
 電車が通った

 車が突っ込んできた

 風が吹いてきた
 
 ニット帽の青は
 どんどん平凡になっていった


 渡りきれない正体は
 踏切りを渡りきれない
 絡まる
 後ろ髪の白髪の白が消える


 
 剥がれたコンクリートに
 横たわった老人の身体を
 辿っていけば
 誰もが最後は
 左手の人差し指の深爪で
 終わりたがる。
 

 



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