カナリア/もっぷ
 
う」



そうして翼 引き千切られたそのままに

籠から出されて 捨てられて

飛べないままに 捨てられて

アスファルトの上 彷徨って



彷徨った挙句 彷徨った挙句

初めて 初めて 声を出してみたら

初めて 初めて 歌おうとしてみたら

わたし 歌い方 知らなかった・・・



そう わたしは唄を 歌えません

わたし 歌ったことが無かった

意固地になって 歌わぬうちに

唄を忘れた カナリアだった・・・



羽ばたく翼の 無い夜明け

寒い冬の日 雪催い(もよい)

路に倒れて 凍えていたら

おじさん 見つけてくれたけど



おじさん ゴミの集荷人

おじさん わたしを撮み(つまみ)上げ

青い色した トラックに

放り込まれて 放り込まれて



わたし 一度も歌う前

わたし 一度も羽ばたけず

わたし なんだか転がって

わたしの生涯 閉じました



戻る   Point(0)