隘路(普遍的な絵の中で)/アラガイs
ない。透き通る石の痕跡。それは過去という記録を辿っているんだね。きみはいつ生まれたのか、誰を語りそして何を描き死んでいったのか、すべてあなたにはお見通しなんだろう……」
海岸線は我々の祖先が新しく作り上げた肌地。繰り返し汗と涙に支えられてきた復元の路。本来は打ちつける歳月の波に削られ再生と消え去るはずだった。苔生した岩と深く朽ち果てた木々群生の、いまを通り過ぎて行くのは誰だ。
気づかないうちに長々と遅い車の後を追いかけていたようだ。快晴の海という枠の外側を見ながら少し気分は苛々してきた。ここに来てまで何もかも休めたくはない、止めればいつもの停滞に巻き込まれてしまうのはわかっている。
鼻歌から罵声を浴びせたくなる。仕方ないので見えてきたコンビニで車を停めることにしよう。
悪意もないのだろうが、ああ、またしても誰かに気づかいをすることになる。ぼやけた輪郭線からはっきりと色が見えてきた。
他人のことなどどうでもよいのです。しかし、もう遅い、これも運命なのだと。
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