仮定の連鎖/こたきひろし
 
返答していいかわからなかった
言葉を失い
ただ否応なしに
涙があふれてきた

自分の存在価値が全否定されたようで
それで
淀んだ心を洗いながしたくなった

もしかしたら
私の半分は誤りなく腐っていて
片半分も腐りかけているのかもしれなかった
そんな仮定が暗雲のように垂れ込めて
涙の雨を降らしたに違いなかった


すくわれようのない
十七歳だったのだ

私はその日から
自分は叩かれても釘の刺さらない糠なんだと
思いしってしまった

未だに
それを引きずっている
暗がりの中を
暗がりの中へと




戻る   Point(3)