星のシンフォニー/丘白月
雲が帰って
空には誰もいない
見上げるすべてが
星と月だけのものになる
やがて
聴こえてくる
オーケストラの音が
目の前まで星が降りてくる
月が指揮をする
コンサートマスターが目で合図する
太古の音が
長い旅からたどり着く
星の背中にありがとうと書いた
金星が草むらで見ていた
まだ夜明けは遠い
冬の星座が組曲を
ゆっくりと始める
一人じゃ寂しいと
夜空を見るとき
聴こえてくるのは
衛星と惑星たちのシンフォニー
明け方 一番に目を覚ましたバラが
金星が置いていった涙を口にする
通り過ぎてゆく澄んだ風に
ほのかに色がついていく
消えることのない
やさしい色がどこまでも
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