世に棲む日々/日比津 開
 
大河ドラマ「花神」の中で
『人の一生には命の長短に関わらず
必ず人生の春夏秋冬がある』
と吉田松陰に言わせる場面があった

確かに松陰や高杉晋作は
三十歳を前に亡くなっているが
激動の人生を送り
青春の中で春夏秋冬を大急ぎで
駆け抜けていった感がある

しかし、名もない市井の人たちの
春夏秋冬はどうか?
たいていはゆっくりした歩みで
長い年月、人生を送る間に
誕生、成長、青春、結婚、子育て
そして晩年、死を迎えることになる

一方、理不尽なことも多く
幼少、子供で亡くなる人もいる
私の娘は障害を持って産まれ
たった五歳でこの世を去っていった
その人生のど
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