栗への讃歌/帆場蔵人
 
課題詩・秋に再挑戦
『栗への讃歌』

青い雲丹のようであった
トゲトゲが今やえび茶色に
染まり機は熟したと落ち始めた

栗よ、お前は縄文の昔から
人びとの口を楽しませ、飢えから
救ってきたそうではないか

そんなお前を足で踏みつけ実を
取り出す私たちを許してほしい

私は私の先祖たちがしてきた事を
繰り返しているのだ、お前のその
えび茶色は実に食欲に火をつける
マルーンとも言うが、マロンには
相応しい色味ではなかろうか

縄文に生きた人々は
お前を生で食べたという
しかし、私たちは
お前たちと共存するうちに
甘栗、栗飯、栗きんとん、と
絶え間なくお
[次のページ]
戻る   Point(2)