金色の額縁/田中修子
 
眩しい
イチョウの葉が、金色に
雨のように舞って、舞って
そのなかに入れずに ただ
見惚れていた から 憧れて
手を伸ばす

いったいなんなのでしょうか

金色に降りしきるイチョウのなかで
ひらひらと踊ってるみたいに、背に、澄んだ羽はありますか


うずくまっています すべて
遠くから
ああ、あの内がわに、舞い散りたい、踊りたい、と
願うだけでよかった

耳に優しいピアノの音が聞こえる
世界を憎んでいた、だからきっと、写真は綺麗だ

なにもかも
未満にもすら、なれない

だから

きれいごとをならべたて
切り刻む
(傷つけあうことで伸びる背から逃げようとしているなぜなら
子どもだから--子どもだからなのよ)
嘆き悲しみ花束を抱える
子どもの人でなしにかかわった幸福は

よくねむれますように
みずからの幸福を祈れるように

そこが
降りしきる金のイチョウの乱反射で
目を細め

さよなら
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