雲をこえて/la_feminite_nue(死に巫女)
 
る夜には、雪にとざされる窓、
 あかりの消された寝室には、……細く寝息をたてて。
 
気づかれぬままに、捨て去られるなら、
 神よ、どうか、その応えをわたしに与えて。
 
舞台や劇場なんて、いらない、
 しずかな繰り返しの日々のなかに、
 
貴女の想いのはげしさとともに、
 わたしを縛る、いくばくかの鎖をもとめて、
 
おおきな声で、もしもさけぶことができるのなら、
 そうしましょう、それがかなわないのなら、
 
銀杏の散りしく秋、躑躅たちが咲きほこる春、
 ふと目にとまる心映えのなかに、
 
ちいさなささやきの歌を。
 魂をしずめる、かすかな霊の靴音を。
 
はばたき、昇華する天使の羽根を。
 貴女のながした、幾粒かの涙のような──
 
 
[ エミリー・ブロンテのイメージによせて。 ]
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