寄りかかられない椅子のように/ふじりゅう
 
どい、貴方は別に今特別にしんどい訳じゃなく、ずっと身の起き所がないだけなのに。貴方は布団の中。しんどい。しんどい。貴方は布団に抱かれた。私はカーペットという絶望的に致命的に遠い果ての果てで、さみしい、さみしい、と血液に訴えた、訴えたい、訴えたい、しんどい、しんどい、そんな貴方はくたびれたスーツを自分で掛けに行った。貴方は自分で食事を作り始めた。貴方は許してくれなかった、貴方は自分で浴槽を掃除し始めた、私は一杯の缶ビールをコンビニ袋から差し出すと、泣くほど喜ぶクセに、貴方は自分で洗濯をし始めた、スピカと地球くらい離れた距離で、私は光子に化けても地球を覗けない、絶望的な距離のカーペットで、全てを天才的
[次のページ]
戻る   Point(0)