晦い花園/la_feminite_nue(死に巫女)
振り向かないでしょう! 私にはまだ苦しむ力があると思った時、夢のようなおぼろな世界は消えていきます。そうして取り残されるのは、現実に生きている私、苦しんで、苦しむことを拒んでいる私なのです。何もかもが矛盾しない世界、何もかもが矛盾していることが矛盾しない世界というのがあり、花園を包み込んでいるのです。それもまたより大きな世界の中の一つであり、私たちには考えることのできない、受容と衝突が同時に行われている。そして、花園の中に投射された一個の影絵として、私たちは一枝の葉を見ているにすぎないのです。ようやく立ち上がって歩き出すその人が、手をふりながらこちらを見つめました。かつて私であった私が、死者となってこの花園の中にいて、一人歩き去っていくのです。淋しいとも悲しいとも感じない私は、生きているのでしょうか。これが生きるということなのでしょうか。コスモスやグラジオラス、ヒヤシンスは、何の影なのでしょう、憐憫と愛情に満ちて咲いています。この花園の中に道はありますか? 道がなければ、花たちの間をかきわけて進んで行きましょう。その人は、歩いていくでしょう……
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