おびえる/新染因循
 
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墓標のいくらかは苔生し
太陽は無邪気に首をかしげていた

街へともどる道は急峻で、
地平は鋭利に太陽を反射している
今すぐにでもクラクションを壊してやろうと思った

街灯は羽虫の悲鳴にかげり
家は貝のように閉ざされている
そこには美しく育まれる肉体がある

そしてアスファルトの黒々とした窪みから
渇ききった命は手を伸ばしている
だがもはや、風が吹くことなどあるまい

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