ひたひたり/Seia
 
ことなく過ぎていく
日々の方を変えることが出来たなら
何度破っても変わらない
日めくりカレンダーごと捨てられるだろうか

ひたひたりと障子の裏
板張りの縁側を歩く女の影があった

夢だということはわかっていた
ずいぶん前に引き払ってしまった
もう祖母しか住んでいなかった一軒家

広い仏間には掛け軸も
チャイムの音に起こされて
ドアホンのモニターをのぞく
寝惚けていた時間が長かったのか
もうそこには誰もいなかった

背筋が伸びて
頭皮が泡立つ感覚があった
樟脳の残り香がするのは
ただの気のせいだと片付けた

昨日と同じ日が過ごせたらそれでいいと
初めて願った朝だった
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