身辺雑記と、詩について思うこと/田中修子
 
うし、きっと現代の人より死が身近であったはずだ。紙もペンもいまよりもっと入手が難しかったのではないか。そのような人々が命を投げ出すようにして綴った文章だ。

あのころ、黒の文字が、まるでとても強い、それでいて澄んだ光を放っているように見えたものだ。

ほかにも、もっともっとたくさんの本を読んで、その中にありありと描かれる生き生きとした少年少女たちの冒険、あるいは私の知らぬ穏やかな生活が丹念に描かれた生活の随筆などを読んでその生活に思いを馳せるとき、私の「こころ」はほんの少し、動いた。(実は私は「こころ」というがなんなのかを知らない。おそらく、脳とからだが連動して起こる何かなのだと思う。)
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