解放/両性具有
 
どうか僕の心臓を
もらってくれないだろうか
ぼくの血ではなく
きみの血を通わせてくれないだろうか

まい夜まい夜
ぼくはぼくの心臓が泣くのを聞く
自由にして 自由にして と
君の声で泣いている
きっと
肉の鎖から
解き放たれたたましいのように
あるべき場所へと帰りたがっているのだ
まい夜まい夜
ぼくはぼくの心臓が
逃げてゆく夢を見る
足が生えた異形の小人が
月明かりの青いアスファルトの上を
どこまでもどこまでも
血の跡を残して逃げてゆく夢を

どうかぼくの心臓があった場所は
そのままにしておいてくれ
くりぬかれた内側に
届くことのなかった光が
届くように


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