夢から覚めたカエル/Seia
 
と話していた

いつでもわたしは我に返った
そうして食パンを
トースターに入れっぱなしにしたりした
ほどけた靴紐を踏んだりした
駅のホームで忘れ物に気付いたりした

日常の始まりはいつも唐突で
冷めたトーストにかじりついたときだったり
水たまりに濡れた靴紐を結んでいるときだったり
大急ぎで階段を駆け上がっているときだったりする

世界が五分前に作られたのなら
それは認識の始まりが
五分前だったからなのかもしれない

いつの間にか世界は始まっていて
いつの間にか夢から覚めている

カエルの大合奏にふと気付いたとき
その鳴き声の始まりを
今から思い出せないように
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