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両性具有
ぼくらは
絵本のなかで
セックスなしで生まれた子どもです
エラ呼吸も陸呼吸もできて
どんな指よりも愛撫に長けた
艶やかな二枚舌
恍惚の高波に血を滲ませて
噛みしめた肌に刻んだ詩が
白い雪に残る静謐な足跡になって
足跡の先には
空になった狼の巣があり
雪解けの春を待ちわびて
情交に耽る二匹の雌がいた
ぼくらは
御伽噺に見捨てられた
あまりに放埓で無知な
いじめ踏みにじられて昂る
灼熱の仇花
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