暗闇と明かり/ハァモニィベル
 
もかもが、大理石よりも固く凍っていた


真実もすべてを一瞬で凍りつかせることがある
温もりがそれをふたたび一瞬で融かす日まで 


遠方から来る友のように、太陽が雲を朝の色に染める
隠れん坊でしゃがんでいる場所を鬼が次々に暴くように


朝、ひとは、見つかった子供のように目ざめる
上半身を起こして
つべこべと果てしない現実を生きていく
海のような欲望にのって


寂しさを満開にした花が幾重にも闇の中で凍りつき
哀しみの結ぶ実が陽射しに融ける日を待っている


ひとひねりに捻り殺されるのが救いである程の
短い蝋燭の、過酷な夢の中でさえ


まるで生きているような、
光の濃度が増してゆく
閑(し ず )かな灯りでせめてありたい





















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