果てしなきCrawl/ハァモニィベル
僕の前で、夜が眠っている
永遠にどこまでも続きそうな橋の真ん中に
巨体をぐっすりと横たえたまま
乗客が僕だけの列車は先に進むことができず
夜の鼾のような発車のベルが響くなかに停止している
たくさんの夢が空から頬に落ちてくる
そして足元が砂で埋もれ出す
非常ボタンを押して、非常扉の向こうへ抜けると
僕の両脚は巨大な砂漠の中にめり込んだ。僕は腰まで砂に埋もれた。
夜は、那由多の埃が積り積もった砂漠になって「お帰りなさい」
と、僕に声をかける。
僕は胸まで砂に飲まれた。
乾ききった海の上を、冷酷な風だけが泳いでいった・・・。
そこから はじめて ほんとうの
人世の朝が、ほんとうに 始まる
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