運命線がきえています/狸亭
 
きえてしまった運命。

おおくの生命が
永遠にうごめきつづける
微細な感動をしんじていたのに
この静けさはなんだろう。

ふかく刻まれた運命線をもつおもたい詩人が
運命線をもたないぼくと
女占師をはさんで沈黙する
時はながれていくのに
いつまでたっても
お城がみえない。

あたらしい運命線をきざみつけるために
あたらしい夏にむかって
この肉体を投げよう
地をはう人間たちや
水槽の中にとじこめられた動物や
しだいに上昇する温度にたえている地球にむかって
もう一度
きえた運命をさがしに行こう。






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