幻/
ミナト 螢
いつの時代も白い蝶は飛ぶ
記憶の境目チクチクと縫って
軌道を見ている夜が好きだった
置き忘れて来た大事な言葉を
腕時計のリューズで巻き戻す
微笑みのようなそれは涙だ
甘い匂いがするから誘われる
羽根を濡らしても色を輝かせ
青いシャツで拭った空を僕は
ずっと待っていたきっと出会うため
太陽は嫌い干からびた身体
蟻に絡まれて羽根が消えてゆく
路上のあとがき
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