涙のカルテット/st
少女が窓辺に腰かけて
静かに外をながめながら
じっと何かに聴き入っている
その目からこぼれ落ちる
涙のしずくは
キラリとひかる美しい
ダイヤモンドのように
つめたく輝いている
なぜ泣いているのだろう
あまりに悲しいめにあうと
聞こえてくるという
青空と太陽
そして
風と雲がかなでる
神秘的なカルテット
少女はきっと恋人と
離ればなれになったのだろう
遠くで
さびしさが
北のはてへと
ながれては消える
ひとりぼっちの
群れをはなれた
灰色の鳥が
命をかけてめざす
山の向こうへ
おいかけてゆく
短調のハーモニー
いとしい人の街についたなら
あの子の想いを
つたえておくれ
見あげるそらの
青空と太陽
そして風と雲の
涙のカルテットを
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