ある鋏の使い方/愛心
 
はどう見ても良くないもので、いつかロープくらいの太さになって、彼女をそのまま吊り上げてしまう錯覚に陥ったわたしは、大きな断ち切り鋏を取り出した。
縁を切るには、縁切りの神様に切ってもらう以外に二つ方法がある。自分で切るか、他人に切ってもらうか。
わたしは彼女の首筋の縁を掴むと、鋭い刃を食い込ませ、勢い良く切断した。彼女の首から落下した縁が、もがくようにびちびちと音を立て、足元を這いずり回り、直に静かになるとゆっくりと消えていった。
彼女の顔から一瞬だけ血の気が引く。そしてすぐにわたしはにっこりと彼女に微笑んだ。

あなたのために わたしの縁を切ってやった

ひとりぼっちの部屋で、

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