冬がくる前に/こたきひろし
 
たよ

そんな私に友達はいなかった
友達はできなかった
もし私と友達になってしまったら
周囲からつまはじきにされてしまうに違いなかった

だから
けして孤独を愛していた訳ではないけれど
私はいつも孤立していた

当然 教師からも見放された存在
クラスを受け持つ担任にとっては
お荷物になった
教室内の空気を潤滑させるには障害物に見られてしまった

全体の中に異質な個体が紛れ込んだ場合
取り除くのがベストな選択だ
しかしそれは著しく正統性を欠く
憚られたから
教師はその存在の無視を選ばざる得なかったのだ

先生もまた働く労働者の一人なのだ
自分を自分の生活
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