*アイスピックララバイ*/終
にぷるんと揺れて
ジェルのように自惚れ纏わりついていて
彩られた漆黒の爪先に鈍い光を零している
目ん玉は、掌の上の宙を弾む
まさか自分が目ん玉の姿とは気づかずに
「魚の目ん玉だったら、コラーゲンだし、役にも立つのに」
アイスピックに付着した水滴を撓らせた木綿のタオルケットに拭う
ブルージーンズを走らせたジッポでアイスピックに火を灯す
目ん玉は、宙を見つめ。目ん玉は、宙を彷徨い。目ん玉は、宙を転がる。
貫かれた細い針の先も
赤い血が流れ続けるのも
慣れ親しんだ木枠の窓も忘れて
スワロフスキー's ナイアガラ DIVE
乱反射する光に黒い染みを
弾け飛ぶ鈍色の目ん玉
散り散りに裂いてく
魚の目ん玉だったらネ、コラーゲンだし、役にも立つのにネ
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