花真珠のくびかざり/田中修子
 
花の顔の幻よ
後ろ髪 引かれて いくど ふりかえっては

……きこえるはずのないおとが……花の雨

 はら、 はら
  はららら ららら、 るる らっ、 らっ
   ぽと ぽとととと さら、 っらっら、

風のかたちに花が舞い
春のつむじ
桜の蜜は女のにおい。少女は、娼婦は、少女は、みなしご。

春のうた 春のおうたを うたいましょ。

 (はないちもんめ はないちもんめ
 百年まえも
 百年あとも
 必ず咲いて
 そうしていつもとかわらず散った
 百年まえも
 百年あとも
 あしあとのこし 消えてゆけ)

桜並木が揺れている
銀とピンクのトンネルは
雪のようにくずれながら
みんなに おうたを うたっているよ。


※「はないちもんめ あの子が欲しい」童謡 はないちもんめ 歌詞より
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