花真珠のくびかざり/田中修子
真珠はだれに殺された
孫娘に殺された。
(はないちもんめ あの子が欲しい)
孫娘は泣いている
おうちに帰りたいと
泣いている
真珠の背中のぬくもりが
帰るおうちよ
ほたほた落ちたぬくい涙は
手の甲に
薄い昼の月のようにしみ込んで
目を細くしてほほ笑んでいる。
孫娘は大人になって
そうして母になりました。
(はないちもんめ 売られた過去は
水に流して しまいましょうね)
銀の針に白い糸とおして
桜の花びら縫いましょう
あしたには枯れてしまうのよ
淡いピンクのくびかざり
花真珠のくびかざり。
散りぎわの桜がみせる
甘くて柔い 花
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