青空(改稿)/新染因循
瓶を両手で握りしめ、
夢のかなたにまで羽搏いた日々よ!
かがやける海ガラスの浜辺を思いだす。
今やわたしは波打ち際にひからびた
網にからみとられた藻屑である。
電波じみた妄想にからまった藻屑である。
だれかが走っている。笑い声がある。
青空にひびきわたる笑い声よ、
おまえはだれだ、だれだ、
わたしの忘れたものだ。
からみとられる足もない
もがくべき腕もないわたしは
溺れ、流され、ここに在る。
ここに生きている。
波に揺られては吐きだされる、
だれかの影を踏みしめ、踏みしめられる
赤錆びた街からのぞく朝の
変わってはくれなかった青空が眩い。
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