イリスィリサイト/中原 那由多
 
渇望の
その
蛙の卵であるかのような
生命力に振り下ろす
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ぶるり、と
震えた
赤の渇望の
その
白玉のような
艶が
目玉に
見えてくるのだ
その
目玉は
ぐるりを
舐めるように
見渡してから
止まる
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首筋
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痛覚
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破裂

翼をもがれた旅人は
泥で
顔を
洗う
かのように
開き直って
先を
行く
曇天
その
隙間
から
差し込んだ
差し込んだ
絶対
から
ずるり、と
漏れ出す
怪物の
舌先は
桃の
果汁を
含み、笑っている
きのこ

胞子を
飛ばしたように
赤黒い
皮膚が
風に
張り付き
錆になる





これが
切れ端
切れ端
から
蔦が
するり、と

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赤の渇望は
紙一重

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