人でなし/田中修子
て高みへとのぼるのです」
その予言そして遺書の通りに
あれから私はけっきょく誰のことも
友とおもわず どこか うわのそらで笑っている
もう だれにも やけどを ふれられたくない ふやしたくもない
私は だれの友でもない あの日から友を持ったことはひとりもない
だからひとびとはやがて去っていくし
後ろ姿を見ながらあらたに決意する それでまったくかまわないのだ と
そう、私は明らかに人でなしだ
身代わりのような人生を生きている
そうではないのか
ここまで身代わりのように生きてこられたのか
実はそれを理由にして生きたくて生きてきたのか
尋ねたくて尋ねたくて
あかない扉をノ
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