新宿駅・午前〇時/服部 剛
 
から駆けつけた白犬さんは
血の滲む傷口さえも、力に変えて
――飛べ ――飛べ と唸り

流浪の旅人sho君は
ろくでなしの居場所の唄を
弾き語る

新たな日々を決意して
山梨へ往くユウコちゃんは
朝に旅立ったお婆ちゃんへの
思いを胸に仕舞い
素朴な風景に宿る
言葉の宇宙を、呟いた

皆で織り成した
音と言葉のひとときは
昨日の夢となり

今夜は無性に目が冴えて
眠れそうにないから
マフラーを巻き直して
夜明けの方角へ
深夜の道を漫(そぞ)ろ歩こう

すでに始まっている
物語の鼓動と
靴音の響くままに  





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