まるで人生って!/立見春香
まるで白昼夢だ
満月の頃
青空に黒い月が浮かんでいるように
胸には小さな宇宙のような穴が開いていて
埋める星の金平糖を探し続けていた
潮の香りの染みついた
大きな河の静かな照り返し
目的もなくひとり川面を眺めて
あくび
あくび
あくび
鉄の交差する
橋の運命の一点で
その震えて泣いている
仔猫と出会ったんだ
夏が終わっても
髭をビンビンと過敏に震わせて
花火を懐かしんで探しているように
太陽を暖まるためみたいに浴びようとして
尾を口に含みながら
丸まった足をあしたに向けて
あのだれも知らない花の名前を探すように
目を細めていた
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