ほほえむ 顔/立見春香
れて行きたがってるのを
知ってしまう
訳?
それを
そんな
好きとか
言葉だけじゃ
納得いかない
もっと
いやらしい
認めたくない
なにかに染まった
顔
だったり
することが
耐えられない
恥ずかしい
そんなこと
知らないけだものは
けだものの理屈で
熱い想いを
わたしに
ぶつける
拒む
ことさえ
楽しげな
けだものめ
そんな
けだものの皮を被った
人のために
わたしの中へ
冷たい愛情を
芽生えさせる
なぜ
こんなやつ
求めてしまうのと
問えど
自明な
笑い声がする
みずから
あざわらう
笑い声がする
でも
それを
自嘲
って
わかっているなら
それですべては闇におさまる
ああ、なんだ
これは
ふつうのひとなんだ
《ほほえみ》
って
こういうときに
する顔なんだ
スーッと
ほおをつたう、
あたらしい
針は
やさしく
すこし
あたたかい
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