那由多/中原 那由多
 
気楼であったことを
どうか笑ってくれないか


いつか触った面影を残したままに
ドレスコードの前習え

星屑のパレードは絶え間無く続き
夜と朝の境目を奪い去る
置き去りにした瓶詰めの恍惚も
仮初めを並べた中吊りの広告も
イカサマまみれの真っ逆さまに
疾風怒濤に呑まれてしまう

醜いアヒルの子は、今
モラトリアムを越えてゆく


九十八歩目、歓楽街

掬い上げた湯船の月のように
指先をゆっくり伝う毒、独、読

纏わりつく陶酔、怪物の手招き
強烈に焼きつき、偶像の色の変え
業、豪、合を背中に刻み込む

血走った眼に映える憧憬は
眩暈がするほどに天
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