クロッキー 5 孵化/AB(なかほど)
面が、次の場面が、
君の声が、えくぼが、心が、もう少しで、ふっ
七尾湾にキリコが投げられ歓声がおこり
海上花火が鏡のような内浦に映えると
あいちゃんは漁港へと走り出す
地べたに残された線香花火があと3本
鱈
日平均残業三時間の男で惣菜売り場がごった返す午後9
時。たまには、という連中が鮮魚コーナーでうろつく。
白い袋の中には当然のように真ダラの切り身。鍋ですか?
と自分に問いかける。いやいや煮るなり、焼くなり、家
に帰りつく頃には嫁も子供もよう寝とる。煮るなり、焼
くなり、何となくしよっぱい。
ビー玉沿線
故郷行きの廃線が決まった
子供
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