青、そして青/嘉野千尋
 



   風に揺られていたね
   僕らはなにも選べずに
   別れの言葉を強いるのは夕風
   信じることも疑うことも
   選べずにいた
   僕らを置き去りにして
   地球が回る三周半



   風に揺られていたね
   僕らはなにも選べずに
   遠ざかっていく夏の姿に手をふって
   僕らは言葉を知らず
   言葉にする術を知らず
   置き去りにされた空白は
   ただ青く染まった



   青、そして青



   風に揺られていたね
   僕らはいつまでも



   いつまでも


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