ゆでたまごの詩/
ミナト 螢
剥いたばかりの
ゆでたまごが回る
箸では掴めない
軌道の秘密
向き合うことから
逃げてきた僕は
誰かが撒いてゆく
塩の上で
ブレーキをかける
臆病な心
全てを見せるには
黄身が古いと
断り続けた
安売りバーゲン
固まって滑る
朝に思うのは
細かい殻が
ひとつ残ったら
指先で触れる
粉々の痛み
温かい傷に
塩は塗らない
それはきっと
僕の涙なんだ
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