グラデーション/ミナト 螢
 
掴まることができない
セーターの袖口を塞ぐ人が現れて

暖かい空気で守り続ける
二人の思い出が膨らむ腕は

風も通さずに聞こえる互いの
脈を打つ音が重なり合って
ジングルベルの間を縫ってゆく

甘え方を知らなくても雪は
平等に積もり熱を奪って

凍える前に吐き出した息が
愛してるなんて言えやしないから
代わりの言葉を探すまで生きる

役目を終えた白い絵の具のように
混ぜられて輝く色があるなら

誰かの心を調和していく綺麗な
グラデーションを作るため
何でも話せる声は外へ向かう
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