三日月/ミナト 螢
 
遠すぎて寂しく冷たい距離を
縮めるための光が溢れて

眩しさを知った心臓の痛み
ガラスの中の記念写真みたい

美しいものはどこにあるかな
今ならきっと教えてあげられる

君が瞼を閉じる瞬間は
僕が世界を見つめているから

輪郭を溶かす温かい手が
側にあることを確かめるように

瞬きを止める互いの瞳の奥
丸い爪の形が月に見えた

届きそうで逃げられてしまうのは
瞳に映る海がさらってゆく

どちらかが先に辿る輪郭は
地球の裏側で結ばれながら

二人を守る時間は無制限
朝に遅れた月は白いまま
瞼の裏側で夢を重ねる
戻る   Point(1)