チェリー/ミナト 螢
 
両耳にさしたイヤフォンで今
世界を閉じて音楽を浴びる

君は一人じゃないと歌えるのは
その人がとても幸せだから

カーテンを閉めた
孤独の窓には影が映らずに
双子のチェリーを食べた僕にも

分け合う誰かがいれば隣で
同じ波長のリズムに乗りながら

赤いチェリーをイヤフォンの代わりに
もっと近くへ行けるはずだった

掌に乗せたチェリーの種を
上に投げるのか下に落とすのか

実がなる年まで聴いているから
音楽と共に生きても良いね

寂しさを越えて季節は巡り
イヤフォンが耳に冷たく触れた
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