最後の砦/悠詩
だから守ろうとした
未来を託せる子供を
だから守ろうとした
技を遺してくれた師を
だから守ろうとした
貴重な時間を過ごした友を
だから守ろうとした
世界の広さを示してくれた猫を
その果てに
己はここにいる
今すべてを失ったことを知るために
己はここにいる
今すべてを失ったこの世界はまだ続いていることを知るために
己はここにいる
奔流はいよいよ牙を剥き
すべてを押し流そうとする
戦士はしかと立ち上がった
流されたくない
ただ
それだけのために
最後の砦はしかと立ち上がった
生きていたい
ただ
それだけのために
戦士は立ち上がる
何度でも
何度でも
最後の砦は立ち上がる
何度でも
何度でも
何度でも
何度でも
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