ただ遠い憧れ/立見春香
 
ーブをして
ドンドンドンドン
イワシ雲に向かって
昇って行ったんだよ

うずくまって
靴の先ばかり見ていたのが
暗い過去のことに
なったり
とかね

わたしが青空にイワシ雲の群れを見て
懐かしいと思ったのは
希望を待っている人は
かつて
どこかのだれかに
暖かい気持ちにしてもらったことがあるから

かな?

その暖かさを
思い出したから

かな?

え?
あたりまえだって?

なら
あなたがおっしゃるなら
本当に


それをそうと
信じさせていただいても
良いんだよね

だからわたしは

ただ立って見ているだけで
春が香った

って
そんな想いを
こんなからだに体現させて
今日までは
歌を歌ったんだよ

憧れの

あなたに向けた歌を
ちょっと小さな声でだけどね





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