野球少年/服部 剛
 
僕の部屋に友を招いて
ゆげのぼるお茶を飲みつつ
「マイナスをプラスに変える術」を
語らっていた

 どすん どすん

窓の外に、切り株の落ちるような
物音に耐え切れず
腰を上げて、外へ出た

目線の先には、壁の向かいに
グローブをした少年 僕に気づき
白球を手もちぶさたに、しゃがんでる

 まあ…いいか

部屋へ戻り、語らいは続き
窓辺が秋の陽に染まる頃
いつしか物音は沈黙になったことに
僕等は気づいた  





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