神秘の白鳥/藤鈴呼
 


それを当たり前に感じていた過去と言う名の夏が
ゆっくりと過ぎ去って行った

気付けば世の中はヴァレンタイン風味に彩られ
街でも店にもチョコレート臭が囁く

耳をくすぐる声は何時までも甘く
とろけるような革張りのソファーは柔らかかった

先に翔る翼は 明日が嵐だと知っていたのか
後に続く嘴は 文句も言えず着いて行くのか

ただそれだけを知りたくて
痛む首を 身体全体で持ち上げて
何時までも 見つめてみた

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