月と夜/st
 
ぼくが一番きれいにみえる

秋がきたよ

と月が夜に胸をはる


中秋の名月というけど

ぼくには迷惑だ
 

と夜が月に

言いがかりをつける


まあまあ
 

と雲が仲裁にはいってきて


夜さん 

なんで迷惑なの


と夜に問う


だって月が目立ちすぎて

ぼくがかすんでしまうじゃないか


と雲に答える


そうだねたしかに

夜は真っ暗でこそ

ぼくたちも美しい


と星たちまで割り込んでくる


それじゃあぼくが

雲を吹きつけて

月を隠してしまおう


と風も割り込
[次のページ]
戻る   Point(1)