偕老同穴/Seia
 
右腕の痺れと乱視と空腹と眩しさと
カイロウドウケツの中で一生を
眠っているうちに過ごした気分だ
ゆるく握った手の中に
かなしみの感情だけを残して
早朝に目が覚めてしまった
歪む顔を隠すように
近くにあったハンドタオルをかぶせる
にじむ窓
つかえる喉
俯瞰で確認したわたしは
なんだか笑っているように見えた

植物が土に根を下ろす
吸い上げている音を聴診器で聞いてしまうと
包丁を振り下ろすことに
すこしだけ
ためらいがでる
一思いに
皮を剥いでしまおう
さらした水を捨てているとき
どろりとしたものが
クズと一緒に
排水口に流れていくのを見た

許さない
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