金平糖草と野うさぎ/愛心
た。
風に揺られながらいつものように唄う花に、幼い野うさぎが近づき尋ねてきました。
「お花さん。お花さん。聞きたいことがあるのです。」
野うさぎのはっきりとした声に、花たちは驚いて唄うのを止めてしまいました。
野うさぎの足元に生える一輪が、優しく叱りつけます。
「静かな夜にそんな大きい声を出すものじゃないわ。」と。
野うさぎは恥ずかしくなってふすふすと鼻を鳴らしながら耳の後ろを掻きました。それからひげを整えると、姿勢をただし、足元の花に顔を近づけました。
「おうたの邪魔をして、びっくりさせてごめんなさい。驚かせたかったわけじゃないんです。違うんです。皆さんに聞きたいことがあったんです
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