時の航路/
服部 剛
船は往く
昨日の港を
遠い背後に置いて
船は往く
未開の日々を
目指して
揺れ動く海の面(おもて)を
魚のリズムで、跳ねながら
甲板に立つ旅人よ
潮風に
頬を晒(さら)せ
汝の胸に秘める高鳴りは
秒針の音と
重なってゆくだろう
船は往く
太陽の欠片(かけら)が落ちて乱反射する
青い海原のまにまに
白い航路を引いて
全ての煩いを裂いてゆく
古い姿を脱ぎながら
新たな姿へ孵化するように
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