寂寞たるは/坂本瞳子
 

これまたやはり変わったなにかは
見つかるはずもないといった体で
細長い寄生虫の一匹でも
這い出てこうようものならば
スッキリしてしまえそうなものを
それらしい影も形も見当たらず
肩をいからせて
背中をのけぞらせて
頭の天辺のツムジを地面の方へと向けて
上半身を右へ左へ大きく揺らして
それから垂直に立ち直って
両の眼の下瞼を外側へ向かって
両の手の平で引っ張るように
してはみるのだけれども
やはりなにも目から出てくるものはなく
もうしょうがないからこのまま
目を疼かせたままで
眠りに堕ちてしまおうと
諦めがついた真夜中の二分前
戻る   Point(2)